桜100周年記念事業 NEWS LETTER Vol.3

2013年5月28日発行

2013年の桜祭りも、無事終了致しました。昨年の桜100周年の多彩な記念行事の余韻が未だ残る中、今年も皆様方のご参加を頂きましたことに、先ずは御礼を申し上げます。

ご存知のように、本商工会及び商工会財団では、皆様方のご協力のもと、5つの「桜100周年記念事業」を進めて参りました。それらの中には、単年度で終わらず中・長期的に取り組まなければならないプロジェクトもございます。夫々の取り組み状況について、以下にご報告致します。

「桜は日米友好のシンボル」です。昨年の「桜100周年記念」は一つの区切りであり、今年は新たな日米交流100年の始まりの年です。これからも皆様方のご協力を仰ぎながら、日米間にさらに多くの桜の花を咲かせたいと思っております。童謡「花咲か爺さん」の歌詞には、「裏の畑でポチがなく、正直爺さん掘ったれば、大判小判がザックザク・・・」とあります。商工会が“花咲か爺さん”の役を担い、将来的に“日米交流ザックザク”を実現できるよう、今後もより一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 ワシントン日本商工会財団理事長  大出 隆

各事業のアップデート

次世代の日米関係を担う人材を育成し、両国パートナーシップの基盤をより強固なものにするため、日本語を話せる米国人を育成することは大変重要な課題になっています。そこで商工会財団では、米国での日本語教育を多面的に支援していくことで米国の若者に日本という国やその文化を知ってもらい、それを日本語学習への関心に繋げ、さらには彼らに日本語を活かしたキャリアを考える機会を提供するという、一貫した流れを持つ複数の事業を構築しました。これらについての活動状況を報告致します。

① サクラグラント

サクラグラントは、ワシントンDC地域(ワシントンDC、メリーランド、バージニア、デラウェア各州)、ニューヨーク地域(ニューヨーク州、コネティカット州、ニュージャージー州)にあるK-12レベルの公立、私立、チャーター、マグネットスクールの日本語教育や日本文化教育の支援を目的に設立され、昨年10月、31校にグラントが授与されました。

本事業において当商工会財団は、グラントを授与された学校に訪問することになっています。訪問時に学校関係者や日本語教師の皆様と懇談し、授与されたグラントの活用方法を知り、そのシステムをより良いものにしていくための話し合いを持つためです。今回のニュースレターでは、これまでに訪問した学校のうち、「ワシントン日本語継承センター」と「Eleanor Roosevelt High School」におけるグラントの活用状況をお伝えします。

1) ワシントン日本語継承センター(メリーランド州ベセスダ)

  • ワシントン日本語継承センターは、「当面日本に帰国の予定はないが日本語と日本文化を学ばせたい、より長く続けさせたい」という保護者のニーズに応えるために創立され、毎週土曜日に日本語で授業を行っています。クラスは生徒の習熟度に応じて(エディターより:だと思いますが、もし違うのであれば、「年齢に応じて」など言葉を補って下さい。下の段落でいきなり「チャレンジクラス」というのが出てきてよくわからないので、入れてあげると親切だと思います)8つあり、生徒数は90人弱。
  • サクラグラントを活用してiPadを5台購入。漢字を学習できるアプリをインストールし、6月の漢字検定受験などを条件に「チャレンジ・クラス」の生徒に貸し出して自宅学習を支援しています。このアプリは様々なイラストが画面に登場、それを見て漢字を連想するという内容で、ゲーム感覚で取り組めるため生徒にも好評のようでした。
  • 同センターではグラントがとても有効に活用されている印象を受けました。運営者からも、「グラントのおかげで今までにない学習活動を取り入れることができた」と感謝の言葉を頂きました。iPadの台数を増やしてより多くの生徒の日本語学習を手助けすること、また小学3、4年生に対する良い教材を見つけることが、今後の課題であるとのことです。

「ワシントン日本語継承センター」訪問の詳細については、ワシントン商工会会報2013年3月号『ワシントン日本語継承センター見学報告』をご一読下さい。
http://jcaw.org/main/wp-content/uploads/2011/02/NewsLetter_0313_secured.pdf

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2) Eleanor Roosevelt High School(以下、ルーズベルト高校)メリーランド州グリーンベルト

  • ルーズベルト高校は、メリーランド州の姉妹県である神奈川県立横浜翠嵐高校と1982年より姉妹校になっており、同高校との交流事業にサクラグラントを活用しました。交流事業は、毎年20~30名の学生や教職員が交互に学校を訪問し合い、一週間程の日程で授業や野外活動に参加、ホームステイを行うというものです。
  • 当商工会財団は、2013年3月にルーズベルト高校で開催された交流事業の歓迎式典に招待されました。同校講堂に約300人の生徒が集まり、両校の生徒が劇やダンス、音楽を披露しました。ルーズベルト校の教頭と外国語担当教師によると、同校の外国語カリキュラムの中でも、日本語は人気科目であるとのことでした。
  • 米国の日本語教育は今後、米国内に存在する様々な国の言語教育との競争になっていく可能性が高いだけに、人格形成期である高校生達の「ナマの交流」には大きな意味があります。その支援をサクラグラントを通じて行うことは、米国における日本語教育の発展にとって非常に効果的であると思われます。

サクラグラントは2016年までの5年間公募を続ける方針であり、現在、今年度分の公募準備を進めています。昨年グラントを授与した学校関係者と日本語教師の方々からは感謝の声を多く頂いており、今年も昨年と同様の規模でグラントを授与する予定です。次回以降のニュースレターでは、本グラントを授与された学校や教師の方々からのフィードバックを引き続きご紹介するとともに、今年のグラントが授与された学校名と活用方法をご紹介する予定です。

② ワシントンDC日米協会主催「さくらまつり」日本語テントの設置

ワシントンDC日米協会(以下日米協会)が4月13日に開催した「さくらまつり−ストリートフェスティバル−」の一角に、「Let’s Learn Japanese 日本語できます!」テントを設置しました。昨年に続き、2回目の参加となりました。本テントでは、「日本語できます」というおそろいのTシャツを着たボランティアが、ひらがな、カタカナ、漢字の由来、習字や日本のゲームなどを紹介し、来場者に日本語の面白さを実際に体験してもらいました。

今年もボランティアの皆さんはテントを訪れる人々に熱心に対応し、テントの周りは終日多くの人で賑わいました。今年は天気に恵まれたこともありさくらまつり自体が大変な盛況を見せましたが、中でも日本語教育分野に特化した本テントは大きな注目を集め、1500人近くが来場しました。日米協会が主催する日本語教室の料金が無料になる抽選会にも370人の方が応募し、長い列ができました。

日本語テントは「さくらまつり」の象徴的なコーナーとして定着したようです。来年(2014年4月中旬開催予定)以降のまつりにおいても日本語テントを出展し、多くの方々に日本語への興味と理解を深めて頂きたいと思っております。
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③ 日本語教育に関するシンポジウム・セミナー

昨年4月7日、日本語を学ぶ学生・日本語教師・日本企業の情報交換とネットワーキングを目的とした、“Global Opportunities through Japanese Language”と題したシンポジウムを開催、参加者から感謝と継続的な同セミナーの開催を求める声が多くあがりました。現在、日本語を学ぶ学生・日本語教師・日本企業の情報交換等を継続出来るよう、どのような形でのイベントが開催できるかの検討を続けています。

桜が毎年美しい花を咲かせるワシントンのタイダル・ベイスンには、日本から1912年に贈られた桜の原木が今もなお残っています。当商工会財団は、日本政府・在米日本大使館等のイニシアチブにより、米国国立公園局(NPS、National Park Service)及びナショナルモール信託基金(TFNM、Trust for the National Mall)の管理下で行われるタイダル・ベイスン景観整備事業を資金面でサポートしてきました。本事業は今年4月末現在、基本設計と一部資材の調達が完了しており、後は着工を待つばかりです。

去る4月7日、桜祭りのメインイベントの1つである州協会全米協議会(NCSS、National Conference of State Societies)主催の日本灯籠火入れ式典が行われました。同式典には、佐々江賢一郎駐米大使、ロバート・ボーゲルNPS部長、キャロライン・カニングハムTFNM会長、柳原恒彦本商工会長が臨席し、本事業の成功を祈念する「鍬入れ式」を執り行いました。当日は、この日を待っていたかのように見事に開花した桜の花と日米桜クイーン達の微笑みに囲まれ、和やかな式典になりました。また本式典中には、タイダル・ベイスンのほとりに日本風の景観をつくりだすため原木周辺に遊歩道を設けたり、1954年に日本から贈られた灯籠の周辺に石を配置したりするなど、数々の工夫を凝らした本景観整備事業の完成予定図もお披露目されました。

本景観整備事業は、今年夏の着工が予定されています。来春の桜の季節には、装いも新たなタイダル・ベイスンがこれまで以上に多くの桜のファンを魅了することでしょう。

この場をお借りして、本景観整備事業の推進にご尽力を頂いた皆様に、改めまして心より御礼を申し上げます。
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本事業は、「桜100周年」を首都ワシントンだけの行事ではなく全米に広げたいという趣旨に基づきスタートしました。在米日本大使館のイニシアチブを当商工会財団がサポートし、米国植樹団体などからの協力を得て、桜を植樹するためのグラントが15都市に授与されました(今年4月末現在)。 また、現在追加で4団体を審査中です(下記表参照)。植樹は各団体が提案した都市の象徴的な場所 (州・市庁舎、目抜き通りなどが中心) の他、大学キャンパスなどの教育施設でも行われ、今後もその数は増えていく予定です。

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日本からの桜寄贈101年目を迎えた今年春、ワシントンDCにて全米最大級のイベントと呼ばれる「全米桜祭り」が開催されました(3月20日~4月14日まで)。開催期間中、茶道、華道等の日本の伝統文化をはじめ、日本の著名な演奏家による和太鼓、ジャズ、クラシック、ロックなどのコンサートが催され、また日本食を中心にした屋台も設置されて、延べ100万人を超える来場者に様々な日本文化を紹介しました。全米桜祭りのメインイベントの1つである「桜祭りパレード」には、全米や近隣国から選ばれた「桜プリンセス」が着物姿で参加し、和楽をBGM に日本の美を紹介しました。この模様はテレビ中継され、日本文化の良い広報活動になっています。当商工会財団は、この全米桜祭りを支援するために、全米桜祭りを実施する全米桜祭り協会(NCBF)及び、州協会全米協議会(NCFF)に対して寄付を行いました。

本事業では、 モーリーン&マイク・マンスフィールド財団の協力のもと、日米関係の将来像構築に向けた提言策定を目標に、米国の産官学で活躍する若手専門家を中心にした「進化と繁栄を共有するためのマンスフィールド財団タスクフォース(以下、タスクフォース)」を結成しました。

同タスクフォースは昨年6月6日、 キャピトル・ヒルで日米関係に対するビジョンの草案についての「中間発表会」を開催しました。草案の内容は、「現代日米ビジョンの構築」と題する提言書としてとりまとめられ、同年11月に日本語・英語の二カ国語で発表されました。提言の内容は、「日米両国の経済を強固で活力あるものにするため、先進的かつ戦略的な取り組みを行う」というもので、タスクフォースのメンバー7名による具体的な提言が掲載されています。

日本語版:http://mansfieldfdn.org/japanese-2/
英語版:http://mansfieldfdn.org/program/dialogues/u-s-japan-task-force/
同年11月29日から12月5日にかけては、トーマス・シーファー前駐日米国大使を含むタスクフォースの一行が、この提言書発表のため札幌・仙台・名古屋・大阪・京都・熊本の6都市を訪問しました。各地で政財界やマスコミとのディスカッションを行うとともに大学での公開セミナーを開催し、将来の日米関係について、積極的で建設的な議論を交わしました。

(参考)マンスフィールド財団の提言タスクフォースウェブページ
Mansfield Foundation Task Force on Crafting a Contemporary U.S.-Japan Vision for Shared Progress and Prosperity
公式サイト:http://mansfieldfdn.org/program/dialogues/u-s-japan-task-force/

こうして昨年末、提言書の完成、ワシントンDCおよび日本各地での発表会開催、並びに、米国の次世代で活躍する日本研究専門家への支援という成果を残して、本事業は成功裡に終了致しました。

皆様方のご尽力により、桜100周年記念事業としての知的交流支援は終了しました。しかし「桜」をきっかけとして私たちが撒いた「種」は芽生え、着実に成長を続けております。今後それをどのように育成していくべきなのか、ワシントン日本商工会財団として、これからも引き続き検討していきたいと思っております。

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